【愛とは。】35…麗 花萌ゆる8人の皇子たち18話から《二次小説》
そのころ、東池。願いの石塔。
祈りを捧げるス。
そこに近づく、ジョン。
その気配に気がついて
「あら、ジョンさま。お帰りなさいませ。
まだ、ご挨拶できずに失礼しました。
無事にお戻りになれれて、なによりです」
「姉上、体調はどうか?」
「はい、お陰さまでなんともありません」
「そうか、よかった」
…
「ついに兄上と婚姻か…」
真っすぐ正面からスに向かい、じっと目をみる。
…
「あの日のことを覚えているか?
わたしは命をかけておまえを守ると誓った。
これからもそれは、変わらない」
「はい。ありがとうございます」
小さく頭をさげるス。
「だから、お守り代わりにこれを持っていて欲しい」
巻物を手渡す。
ゆっくりと広げるス。
「これは…?!」
ヨ皇帝の時代に許可された、ジョンとスの婚姻に関する命令書。
驚くス。
「力をつけ、おまえを皇宮から出してやることがわたしの夢だった。
けれど、もう、その必要はなくなったな」
少し寂しそうなジョン。その姿をじっと見つめる、ス。
「鳥のように蝶のように、おまえと飛び立ちたかった。
海を眺め、砂漠を駈ける…もうそんなこともできないであろう。
本当にそれでもいいのか?」
「ジョンさま、皇宮にいても、外の世界にいても、わたくしは自由です。
だから心配しないでください」
「そうか、わかった。
なにかあれば、必ずわたしが助ける」
「これからもずっとわたくしたちは友だちです」
大きく、優しく、頷いて
「どうか幸せになるんだぞ。
婚姻、おめでとう。姉上」
ともに石塔に手を合わせるジョン。
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小さな荷物をひとつかかえ、
門を出ていく女性の姿。
皇宮を去るのは、チェリョン。
(続きます)
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