【愛とは。】34…麗 花萌ゆる8人の皇子たち18話から《二次小説》
婚姻の儀を控えた朝。
ひとり机に向かうソ。
…
髪をおろし後ろでまとめ、左頬には長い前髪がかかる。
皇帝としての鎧を脱ぎ捨てた素の姿。
一通の手紙を書き終え、封をする。
続いて取り出したのふたつの巻物。
皇帝からの命令書。
なにかを書き込んでいく。
…
そこへ現れるジモン。
「陛下、本日はおめでとうございます」
顔を向けて
「ああ、ありがとう。早いな、ジモン。
おまえにも色々と世話になった。礼を言う」
いえいえ、と首をふりながら
「書状ですか?」
「ああ、スからの頼まれごとだ」
…
書き終えるようすをじっと見るジモン。
「ところでなんの用だ?」
「いえ、ただ、お迎えにあがっただけで…」
「迎え? おまえがか?
おまえはいつも変な動きをする。なにが目的か?」
「いえ、なにも。一緒に正殿に…」
「まだ支度もしていないし、こんな早くから行くわけなかろう。
これからスを迎えに石塔に行く」
「いやあの、その…。
へ・スさまは助かって良かったですね〜」うひひひひ〜。
手を止め、呆れ顔で
「おまえがすぐに毒を吐かせたそうではないか。
しかも、いつの間にかパク・スギョンに毒のすり抜け方も習っておった。
まったく、おまえもスも、油断ならない」
「へへへへへ〜」
「それなのに、なぜ、わたしを迎えに急使を出した。
死んだかと思って慌てたであろう」
「いえいえ、あれでも結講、重篤だったんですよ」
「まあ、よい。わたしには分からないこともあるのだろう。
こうして戻ってこれたのだから、それだけで十分だ…」
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そのころ、東池の願いの石塔前にスの姿。
(続きます)
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