【愛とは。】23…麗 花萌ゆる8人の皇子たち18話から《二次小説》
箱を空け、義甲(爪)に手に伸ばすペガ。
ス、急に立ち上がり
「あっ、、、ペガさま、
あの、あの、、、、」
「なんだ、スよ?」
…
「その、えっと、そう! 演奏の前に三献の儀で
高麗の安泰、陛下と皆さまのご健康をお祈りしませんか?
わたくしにやらせてください」
「えっ、そうか…」
過去のできごとを思い出し、怪訝な表情を浮かべるペガ。
けれどすぐ思い直して
「スがそういうならば、やろう。盃の用意を」
「あああ、わたくしいまお酒はちょっと。お茶でもいいですか?」
優しく頷く、ペガ。
ほっとした表情のス。
…
そのやり取りに、側にいたチェリョンが
「ちょうど、スさまに薬草茶のご準備をしていたところです。
陛下がこの日のために特別にスさまにへと
ご用意くださったとのことです」
「陛下、が…?」驚くス。
すぐに背を向け、茶をとりにいくチェリョン。
…
「ああ、完山で陛下と会った我が一族が預かってきた」
と話す、黄州院ファンボ氏。
隣りに座る皇太后は
黄州院へと静かに目線だけ向ける。
…
(陛下がわたしにお茶を?
しかも黄州院さまに預けるなんて。そんなはずはない…)
不敵な笑みを浮かべるウォン。そしてヨナ。
その姿を目にし、なにかに気づいたス。
…
茶の準備を整えた盆をもち、スの前に進み出るチェリョン。
黄州院ファンボ氏
「さぁ、自ら申し出た三献の儀だ。忠義を尽くせ」
笑みを浮かべる。
…
(もし、ここでわたしがこのお茶を飲まなければ、どうなる…
毒が入っていても入っていても、黄州院さまの面目を潰し
陛下に対する侮辱罪に問われるだろう。
陛下がいない間だ。いくらでも罪をなすりつけられる。
それに、運んできたチェリョンが…!)
黄州院、ヨナ、ウォン、
そしてチェリョンの顔を順に見る。
そんなスのようすをじっと見つめる皇太后。
(だめだ、やるしかない…)
お腹にそっと手を添えるス。
盃に注がれた茶をみて、ギュッと目をつぶり…
…
「一杯目は高麗の未来永劫の平和をお祈りします」
一気に飲み干す。
…
唇をわずかに震わせる…
(続きます)
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