番外編【愛とは。】行到水窮處5…麗 花萌ゆる8人の皇子たち18話から《二次小説》
寝台に横たわるスの手を固く握るソ。表情は険しく、流れる涙を拭うこともしない。
「ああ、スよ」
握った手を自らの左頬に充てがう。
「おまえは以前、1000年も後の世の話をしていたな」
右手でスの額にかかる髪を優しく掻き分けながら
「1000年か…遠い、遠い未来だな」
頬に伝わる涙。
「わたしたちは永遠に一緒だ。次の世でもまた夫婦になろう。
だから、ずっと、わたしのことを覚えていてくれるか?」
…
うっすらと瞳を開くス。小さな、小さな声で。
「いいえ、陛下。忘れます、忘れます。すべてを忘れます」
「忘れる、と?」
「陛下に愛されて、とても満ち足りた人生でした。
来世でこんな幸せが待っているとは思えません。
だから、陛下のことも、ソラのことも、みんなのことも、すべて、すべて忘れます」
「ダメだ、スよ。
忘れるな、
忘れないでくれ…」
小さく息を吐き、幸せな笑顔を浮かべるス。だんだんと弱くなる瞳の光…
頬を伝う涙。
「ダメだ、しっかりしろ。スよ、スよ!」
(続きます)
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