番外編【愛とは。】行到水窮處6…麗 花萌ゆる8人の皇子たち18話から《二次小説》
「えっ、流産…?!」
チェリョンの言葉に驚く、ソラ。
チェリョンの足もとにしがみつくまだ幼い男の子が、びくっとして母の顔を見る。
その後ろで子どもの肩に手を添えるのは、父親…ウォン。
「陛下は『ソラがいるから十分だ。正胤は必要ない。弟たちもいるし、甥もいる。
だから、もう子を産まなくてよい』そう、仰っていたのですが…」
チェリョンの顔をじっと見つめるソラ。
「3カ月ほど前にご懐妊されて。
最初は平穏にお過ごしだったのです。安定期に入ったらお嬢さまに手紙を書こうって。
でも、この数週間、悪阻が酷く、心の臓まで弱まってしまい、、、」
声をつまらせ涙を流す。
…
そのとき、部屋の中から
「ダメだ。しっかりしろ。スよ、スよ…」
大きく叫ぶソの声。
…
「母上!」
「姉上!」
「スよ!」
「奥さま!」
「皇后さま!」
ソラを先頭に、みなが部屋に入ってくる。
「私を捨てるな。ダメだ。戻ってこい。逝かせてなるものか。わたしを、わたしを、ひとりにするな…」
取り乱し、スの肩を揺らしながら、叫ぶソ。
「母上!」
駆け寄り、スに抱きつくソラ。
最後の力を振り絞って、瞳を開けるス。
…
優しくソラと視線を合わせ
そして…
ゆっくりとソの顔をみる。
涙を湛えた瞳が
だんだんと光を失い
静かに閉じられる…
「母上!」
「スよ、スよ、スよ。
ダメだ、戻ってくるのだ。
目を開けるのだ。許さぬ、許さぬ。
わたしを捨てないでくれ。ひとりにしないでくれ。
スよ、スよ、スよ…」
(続きます)
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【愛とは。】31話で捕らえられ、35話で皇宮を去るチェリョンですが、こちらの番外編は、あれから10年以上の月日が経っています。
そして、番外編 兄として1 で浦の見回りを命じられていたウォンも…。宜しければ、過去の物語を振り返りながらお楽しみください♪