番外編【愛とは。】行到水窮處1…麗 花萌ゆる8人の皇子たち18話から《二次小説》
行到水窮處 行きては水の窮まる處に到り
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(ああ、苦しい。息が、息ができない…)
(頭が、頭が、割れそうに痛い)
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(わたしは、死ぬの…?)
…
皇宮広場に佇む、ひとりの男。第4代皇帝光宗、ワン・ソ。
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(ああ、苦しい。助けて…)
…
(ごめんなさい…ひとりにして、ごめんなさい…)
涙を流しながら、床に崩れ落ちる女性。
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高麗。正殿。
玉座に就くソ。誰もいない。
そこに現れ、近づくイ内官。
「陛下、本日の審議はこれくらいで」
視線は書状に残したまま
「ああ」
…
扉を開け、外に出る。
「今日は、供はいらぬ」
静かにお辞儀をするイ内官。
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皇宮広場。
ひとり佇む、ワン・ソ。
誰もいない。
どこからか聴こえる、懐かしい声。
(ごめんなさい…ひとりにして、ごめんなさい…)
悲しみを湛えた顔で皇宮をぐるりと見渡す。
小さく呟く。
「浮生」
(続きます)
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この物語「行到水窮處」は【愛とは。】および、番外編「朝の空」「兄として」から繋がっています。
オリジナルストーリー(本編)18話から枝分かれした物語です。