【昭と樹】麗 花萌ゆる8人の皇子たち(Moon Lovers 月の恋人 歩歩驚心)《二次小説》

18話があまりにも辛すぎて、受け入れることができず…

番外編【愛とは。】空の朝…麗 花萌ゆる8人の皇子たち18話から《二次小説》

 

 

 

秋。

瞻星台。

 

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ジモンの書棚を落ち着きなくぶらぶらするソ。

一冊の本をなにげなく手にする。

 

開くとそれは…。

 

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そこに後ろからジモン

「最新作のご用意もありますよ」

慌てて本を書棚に戻す。 

 

「なにを言う、間違えただけだ」動揺を隠しきれないソ。

 

 

「正胤がご誕生されるかもしれないのに

皇帝ともあろうお方が朝からこんなところで何をされているのですか?

堂々と玉座にでも座っておられたらよいでしょう」

 

「いや…なんだか落ち着かなくて。

スの側にいたいのだが、穢れるといって女官たちが近づかせてくれぬ」

 

寝不足の赤い瞳を隠すことなく、困ったようすのソ。

 

「それに…

 

スから名を考えるよう言い渡された。

 

子の名は親からのいちばん最初の贈り物。

だから、しっかりよい名を与えよ、と。

 

スはいつもわたしに難題をつきつける」

小さく肩を落とすソ。

 

ムヒヒヒ…と笑うジモン。

 

口を尖らせて

「政のほうがよっぽど簡単だ…」

 

 

 

そんな姿を微笑ましく眺めながら

 

「そういえば…」

 

机の中から一通の文を出し、ソに渡す。

 

 

開くとそこには自分そっくりの文字が…

 

 

興来毎独住

勝事空自知

 

 紛れもないスの文字。

 

「これは?」

 

 

 

「王維の『終南別業』

 

行到水窮處

坐看雲起時

 

の対となる詩ですね」

 

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そんなことは百も承知だと、片眉をあげるソ。

 

 

 …

 

 

「以前、陛下が刺客に狙われていると

お伝えにいったことがありましたよね。

 

あのとき、皇后さまがわたしに託した文です」

 

「ス、が?」

 

 

「『陛下がもし

わたくしのことをひと言も口にしなかったら

渡して欲しい』と…」

 

 

「スが、この詩を…」

 

 

「はい。

 

…どうでしょう

 

恨み節とでも捉えますか?」

 

にやりと笑うジモン。

 

 

 …

 

 

興来毎独住

勝事空自知

 

 気の向くままに

 ひとりで出かけ

 

 美しい景色に会っても

 ただあなたひとりが

 知っているだけなのですね

 

「あっかんべー」そんなスの顔が浮かぶが…

 

 

 …

 

 

いやいや、と、首を振り

 

 

興来毎独住

勝事空自知

 

 問題が興るたびに

 ひとりで出かけ

 

 美しい景色に出会ったり

 戦に勝ったとしても

 ただあなたひとりでは

 空しいだけでしょうね

 

 

大きく頷き、頬を緩ませるソ。

 

 

 

 

「陛下が振られずにすんで、本当によかったです」ムヒヒヒヒ〜。

 

 

「なにを言う、ジモン。

これは恋文だ、恋文…」

 

 

じっとその文字を眺めながら

 

 

「『空』か」

 

 

 

「愛する者と一緒にいられなければ

 

どんな景色も空しい、、、」

 

 

 

「だが」

 

窓の外に目を向け

 

 

「今日の『空』はこんなにも美しい…

 

 

そう思わないか、ジモン」 

 

 

縁台から外を大きく仰ぎみる。

 

 

 …

 

 

ジモン、ソの隣りに並び立ち

 

「あまてらす昭(ソ)の名をもち、光宗であるあなたさまは、太陽。

 

その光を浴びることでこの大地は、命の樹(ス)を生い茂らせます。

  

そして、天と地の間にあるものこそ…『空』」

 

 

「空」

 

 

「そういえば…倭の国では『空』は『SORA』と発音します」

 

 

「『SO・RA』か」

 

体の中から沸き上がる温かさに包まれ、

満たされていく…

 

 

このうえなく幸せな微笑みを浮かべるソ。

 

 

 

 

立ち去ろうとするソの背中に向かって

 

 

「陛下、どうか皇后さまのお側へ」

 

 

「ん?」

 

 

「皇后さまはこの時代に似つかわしくないユニークなお方です。

 

お子さまの誕生の瞬間を

ご夫婦でともに分かち合いたいと思っていることでしょう」

 

 

 小さく頷くソ。

 

 

「くれぐれも…

 

振られないようご注意を♪」 

 

 

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(番外編/空の朝、おわり)

 

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王維「終南別業」は筆者の意訳です。

 

冒頭の春画のシーンはワンソを皇帝の姿に置き換えてお楽しみください♪

 

このお話は【愛とは。】第16〜18話とリンクしています。

 

soandsoo.hatenablog.com

 

 

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追記「ソラ」について。

  

 

わたしは『麗』を地上波放送(テレビ東京)→DVDを購入で観ています。このエディションでは、ラストのシーンで娘の名前はでてきません。

 

ところが、ジョンが娘を「ソラ」と呼びかける字幕の別のエディションが存在することが判明! これを知ったときは本当に驚きました!

 

そこから話を広げて、この番外編が誕生しました。

 

ただ、ひとつお断りがあります。

この物語を書いた時点では「ソラ」にどういう意味があるか不明だったため、ここでは「ソラ=空」と変換してワン・ソは名前をつけたことになっています。

 

実は最近、Twitterで繋がっている方から、「ソラ」の意味に関する興味深いご指摘をいただきました。その意味は、鳥肌もののとても感動的なものなのですが…

この話題に関して、長くなりますので、後ほど別の投稿で解説させていただきますね。

 
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【昭】と【樹】についての勝手な考察を昨日、アップしました。宜しければこちらもどうぞ!

長くなって申し訳ありません。

どうもありがとうございます♪

 

 

soandsoo.hatenablog.com