【愛とは。】32…麗 花萌ゆる8人の皇子たち18話から《二次小説》
ウクの屋敷を訪れるウォン。険しい表情で
「大変だ。今朝、陛下が戻った。
すぐにヘ・スと婚姻するといっている」
「なに? ソが…?!
スも毒を飲んだのにけろりとしている。
どういうことだ?!」
そこへヨナが現れて
「兄上、大変です。我がファンボ一族がへ氏と和解し、
ユ氏、カン氏とも手を結んだとのこと。
母上もわたくしたちも見放されました」
「そんな…」狼狽えるウク。
「母上は部屋に幽閉されていて、会うことも叶いません。このままでは…」
ウォン「兄上、チェリョンが口を割るのも時間の問題です」
ウク、苦々しく
「いつの間にかわたしたちは、蚊帳の外だったわけか…」
片方の口角をあげ、眉間に皺を寄せるヨナ。
拳を握りしめ苦渋の表情のウク。
ヨナ「兄上、陛下とスをこのまま婚姻させていいのですか?!」
ウォン「まだそんなことに拘っているのですか?! 早く逃げましょう」
ウク、じっと考えて
「いや、すべてのカードの切札をもつのはへ一族だ。
この婚姻、どうしてでも止めなければ…」
大きく頷くヨナ。
ウク、ウォンに向かって
「急におまえがいなくなったら却って怪しまれる」
ニヤリと笑いながら
「おまえは皇宮でもう少し様子をみろ。わたしがどうにかしてみせる」
怯えながらも小さく頷くウォン。
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その日の午後。
正殿。
玉座には半年ぶりに皇帝ワン・ソの姿。
次々と豪族たちが集まり、皇帝に挨拶を告げる。
堂々とした風格で皇族、豪族、臣下を見渡すソ。
ペガ、ジョンを前にその功績を称える。
下を向いて苦々しい表情を浮かべるウォン。
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茶美園の一室。
一族や他の豪族たちと茶を楽しむ皇太后忠州院ユ氏。
そこへ現れる皇帝ワン・ソ。
皇太后の前に跪き
「帰還のご挨拶にうかがいました」
いつものように憮然とした態度で、手を振り、人払いを命じる。
…
ソとふたりきりになる皇太后。
「…」
「…」
皇太后、ひとつ息をはき
「よく、死なずに帰ってこれたな」
「はい。幼きころからの鍛錬のお陰かと存じます」
「ふっ、わたしへの嫌みか…」
「…」
「まあ良い。約束は守らなければならぬであろう」
「はい、ありがとうございます」
深々と頭をさげるソ。
「…」
「他になにもないのなら、さがれ」
「あの…、母上がお守りくださったと…」
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七夕(しきせき)の宴。
三献の儀でチェリョンから注がれた茶を一気に飲み干す。
唇をわずかに震わせるス…
そのとき
「ああ、3杯も茶を飲むなんて、悠長な、莫迦らし過ぎる。
ペガの筝もはじまらぬのなら、わたしは帰る」
そう言って立ち上がる皇太后忠州院ユ氏。
口もとを歪め、必死に耐えるスに向かって。
「なんだか顔色が悪そうだな。ともにさがるが良かろう」
倒れそうになるスに気づき、抱きかかえるウヒ。
音もなく近づくジモン。手にもった建水(水捨て)に茶を吐かせる。
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「さて、なんの話だか?
わたしの気が短いことは存じているであろう」
「ありがとうございます、母上」
(続きます)
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