【愛とは。】13…麗 花萌ゆる8人の皇子たち18話から《二次小説》
「陛下とわたくしは
困難を乗り越えることができた。
だからこうして
一緒にいることができるのです。
ただ、それだけの違いだと思いませんか?」
「それだけの違い、か」
…
「けれど、それは大きな違いでもあります」
…
「振り返ってみると、あのときあのお屋敷にいなければ、
陛下とお会いすることはありませんでした。
あのときがなければ
いまのわたくしは存在していません。
色々と辛いこともありましたが、
ウクさまには感謝の気持ちしかありません」
…
スの方を向き、目を見つめながら
「…でも、いいのか?
悔しくはないのか?
すべてがウクの策略だった。
ム兄上の死、ヨ兄上の謀反、ウンの死。
オ尚宮の処刑を止めることができず
奴婢にまで身をやつした。
おまえのことをたくさん傷つけてきた。
婚姻の約束も守られなかった。
それでもウクを憎んではいないのか?」
…
「ひとつひとつの事柄を考えると、
いたたまれない気持ちになることもあります。
けれど、それらを大きな流れとして捉えると、
すべてが『いま』に繋がっているのです。
なにひとつ欠けても、
いま、こうして陛下と過ごすことには
ならなかった。
すべては必然です」
「必然、か」
「だから、ウクさまのことをお慕いしていたことも、
婚姻の約束をしたことも、後悔していません。
すべてがいまに繋がっているのです」
「そうなのかも知れないな…」
…
「ウクさまはわたくしにこう申しました。
『最初はおまえが欲しいだけだった。
けれど皇帝になれば、
すべてが手に入ると思った。
だから皇位を求めた。
なのに気がついたら
皇位もおまえもソの手に渡ってしまった。
ソを憎むしかなかった』と」
「おまえが欲しいから、
皇帝になる…ウクはわたしと同じだったのか」
寂しそうに「わたしを憎むしかかなった、か」
小さく頷いて
「わたくしたちの幸せが、
多くの犠牲の上に成り立っているとは思いたくありません。
ただ、多くの痛みをともに乗り越えてきたから、
陛下とわたくしには、いまの時間があるのです。
陛下、少しだけでも結構です。
ウクさまの痛みを自らのものと感じていただけないでしょうか?」
…
スの頬にそっと触れ
「そうだな…。
わたしは物事をひとつの方向からしか見ることができない。
おまえから見ると、物事はそうなっているのか。
そして、ウクから見ると…」
「はい」
静かに微笑むス。
そんなスから目線を反らして…
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「ところで、、、
その、おまえは、ウクと、あの…」
…
(続きます)
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