【昭と樹】麗 花萌ゆる8人の皇子たち(Moon Lovers 月の恋人 歩歩驚心)《二次小説》

18話があまりにも辛すぎて、受け入れることができず…

【愛とは。】20…麗 花萌ゆる8人の皇子たち18話から《二次小説》

 

 

茶美園。

 

 

自らが調合した薬草茶を手に、部屋に戻ろうとするス。

 

物陰から話し声が。

 

 

 

ウォン「…七夕(しちせき)の際にこの……を……に」

 

怯えたように首を横に振る女官。

 

なにかを渡し、それを受け取る。

 

 

… 

 

 

「それから、これを…」 

 

 

ウォンが耳打ちをする女官がチェリョンだと気づく。

 

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七夕(しちせき)の朝。

 

茶美園の一室で、ぼんやり書物を広げるス。

 

 

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ある春の日の東池。願いの石塔。

 

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新しい石塔を積み、祈りを捧げるスに近づくチェリョン。

 

 

「お嬢さま、またこんなところにひとりで…。

膝は痛くないんですか?」

 

「あら、チェリョン。どうしたの?」

 

「休憩だったので、ちょっときたんです」

 

 

「ありがとう。わたしは大丈夫よ。

少し歩いて筋肉をつけたほうが膝にいいって御典医も言っているから。

だからときどき、散歩にくるの」

 

「そうですか」

 

 

 

 

「なんか元気がないわね、どうしたの? 」

 

 

「お嬢さまが尚宮を辞めてからは

たまにしか顔を会わすことができないから

寂しいんです…。

 

いまの尚宮さまは人遣いが荒いし。

 

また前のようにお嬢さまの身のまわりのお世話をできるようお願いしてください」

 

 

チェリョンの顔をみながら 

 

「そうね…、そうできたらいいとは思うけど。

 

でも、いまのわたしは尚宮はおろか、女官でもないのよ。

 

貴族の娘といっても後ろ盾はまるでないし

皇宮においては何者でもない、完全なパラサイト。

単なるお荷物なのよ」

 

 

「でもお付きの女官もいるし、守られているじゃないですか」

 

 

「あれは陛下の女官であって、わたしの部屋があそこにあるから

なんとなく面倒をみてるって感じよ。

いつ誰に放り出されてもおかしくない」

 

 

チェリョン、眉根を寄せ、口を尖らせながら

「そんな…。

 

元旦節のとき、お嬢さまは皇后さまの扱いでいらしたんですよね?」

 

 

「それだって、たんなる気まぐれだったで済まされてしまうレベルよ」

 

 

「お嬢さま…」

 

 

「ごめんね、ちょっと弱音を吐いちゃったわ。大丈夫よ。

ペガさまもジモンもいる。なにより陛下のお戻りを信じているから」

 

「わたしもいます!」

 

「そうね、チェリョン」

 

「それより、あの…

陛下は、お戻りにならないかもしれないんですか…?」

 

「豪族の中には陛下の廃位を望んでいる者もいるわ。

暗殺されるにはもってこいの環境ね」

 

「そんな…」

 

 

「お怪我がないといいのだけど。

 

でも大丈夫。陛下はまだ死なないから」

 

 

大きく肩を落としながら、スに向き直り

「…お嬢さま、わたしはいつでもお嬢さまの味方です」

 

スの手をとる、チェリョン。

 

「なにかあれば、すぐに言ってくださいね!」

 

 

ふたりで石塔に向かい、手を合わせる。

 

 

 

 

「チェリョン…」ため息をつきながら呟くス。

 

 

(続きます)

 

 

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