【愛とは。】18…麗 花萌ゆる8人の皇子たち18話から《二次小説》
立ち上がるソ。すでに数人の刺客に囲まれている。
(少し油断したか…)
ふっと笑って
…
突如、襲いかかる刺客から身をかわす。
ひとり、ふたり、三人…
四人目を足蹴りにして剣を奪い、
振り向きざまに後ろからくる五人目を
斬る。
…
さらに襲いかかる者たち。
躊躇なく斬り捨てていく。
一分の隙もないその動きはまるで舞をまっているかのよう。
次々と転がる屍。
…
最後に残ったひとりと対峙し
「誰の仕業か?!」
答えるはずもない。
距離を縮め、二降りで相手の剣を落とし、喉元に迫る。
…
そのとき、遠くから弓が射られ、倒れる刺客。
足もとに転がる新たな屍。
矢が来た方向を睨みながら苦々しい表情のソ。
…
そこへ駆けつけて来たのはジモンとジョン。
「陛下、ご無事で…」
ジモンの顔をみて、なんだ?!と眉をひそめる。
ジョンは引き連れて来た兵に
弓が飛んで来た方向を捜索するように指示をする。
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屋敷の中。
卓を囲んで、ソ、ジモン、ジョン。
ジモンに「なぜきた?」と問うソ。
「星が告げていました」
ふん、と鼻を鳴らし
「あれくらい、どうということはない。
お前が来る必要はなかったであろう」
それにしても…と
「兵もつけず、ひとりで出かけるとは…」
憤りを隠せないジョン。
「さすがに剣の腕は鈍っておりませんでしたな」
にやり。ジモンはいつもの調子。
ソは当然だ、という顔。
「はあー」とため息をつくジョン。
「兄上になにかあれば、
叱られるのはこちらなのに…
まっ、わざわざジモンが来てくれたんだ。
今日は久しぶりに寛ぎましょう、兄上。
兵に守らせております」
そう言って、ソの盃に酒を注ぐ。
その盃を受けながら、ちょっとためらうように
「ところで…」
ジモンの方をみるも、口を噤んでしまうソ。
…
「少し顔色が優れないごようすですが、
お変わりなくお過ごしです」とジモン。
僅かに口もとを緩ませ、ひと息に盃をあけるソ。
「文のひとつでもお書きになったらいかがですか?」
(続きます)
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