【愛とは。】30…麗 花萌ゆる8人の皇子たち18話から《二次小説》
そこに現れたひとりの女官。
手には花嫁衣装を持っている。
「皇太后さまからです」
驚く、ス。
…
語りだす、ミョンの父
「いまから半年前
元旦節に際して、皇太后さまとユ一族は、
カン氏と我々をお呼びになった。
そしてこう申された。
『皇帝を産んだのはわたしだが、
育てたのはカン氏だ。
陛下はカン氏の息子なのだから、
カン氏も皇太后だ』と」
「ユ氏とカン氏が手を結んだ…」
「ああ、そういうことだ。
陛下は、ユ氏とカン氏を外戚にもつ。
その皇帝を恐れ、手を結びたい豪族たちは
高麗中に山といるであろう。
一方で、高麗を治める者ならば
北方の国境に影響力をもつ
我らへ氏一族を味方につけたいと思うのは
当然のことだ。
神聖皇帝もそうだった」
「そう、ですね…」
…
「陛下はそなたとの婚姻をすぐに望んだのだが…」とミョンの兄。
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元旦節翌日の正殿。
玉座の前にへ一族。
「国境のトラブルを回避するため、スを契丹へ嫁がせることになりました。
いま、我々が国境を守らなければ、一族は滅び、高麗も危険に曝されます」
じっとへ氏の顔をみるソ。
…
「一族の命が大切、高麗も危険か。
だから混乱を避けるため、権力のあるものとスを婚姻させる…なるほどな」
「はい、仰せの通り」
「で、誰の入れ知恵だ?」
下を向いたままのへ氏。
…
ソ、フッと笑って。
「まあ、いい。
それならば…
へ・スは皇帝であるわたしと婚姻させ、皇后にする」
「へ氏には国境周辺の自治権と交易権を与え、
皇帝の名代として契丹との交渉にあたるよう命じる。
「はっ、かしこまりました。ありがたき幸せに存じます」
「その代わり、へ一族よ。わたしに生涯忠誠を誓え」
皇帝ワン・ソの威厳あふれる声が響く。
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「陛下はすぐにそなたとの婚姻を望んだのだが…」
ミョンの兄。
「ユ一族…いや、皇太后さまは
国をまわり、他の豪族たちの信任をとり
自らで力をつけてからでないと協力はしない
そう、陛下に申し渡した。
また、契丹との交渉は我々だけでは難航していた。
『ジョンをともに行かせよう』そう仰ったのも皇太后さまだ。
だから陛下は旅立ったのだ」
…
「我々はファンボ一族ともすでに和解ができている。
ミョンが繋いだ縁だ」
…
下を向き、いま耳にした話をゆっくりと噛み締めるス。
…
「でも、わかっているであろう。
陛下が動いた本当の理由、
それは
すべてはおまえと『婚姻する』ためだ」
ミョンの兄の言葉に静かに頷くことしかできない。
…
「皇帝の外戚は、ユ氏とカン氏。
そして、皇后はヘ一族の娘だ。
皇帝には絶大な外戚がついている。
高麗は安泰だ」
(続きます)
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第30話は第8話とリンクしています。
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(20171027/1130)