【愛とは。】4…麗 花萌ゆる8人の皇子たち18話から《二次小説》
夜。向かい合うソとス。
「皇太后のようすはどうだ?」
「はい、顔色も良く、だいぶお元気になりました」
「ん? 会ったのか?」
「あ…、はい」
「陛下が取り寄せてくださった漢方茶が効いたようです。感謝の言葉をいただきました」
「おまえの見立てだ」
「…」
「他になにか話したか?」
「…、言いたくありません」
「わかった」スの顔を覗き込みながら「なにかあれば、必ずわたしに言うのだぞ」。
優しく微笑んで「はい。わたくしを信じてくださって、ありがとうございます」
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別の日。皇太后の部屋にやってきたジョン。
「母上、年が明けたら忠州に参ります。くれぐれもお体、お大事に」
「ジョンよ、行ってしまうのか」
「はい、陛下の命に背くことはできません」
母の顔を見て、なにかを考えていたジョン。
「母上、一緒に忠州に帰りませんか?
血なまぐさい駆け引きばかりの皇宮にいては長生きできません。
静かな環境でともに暮らしましょう」
「長年この皇宮で生きてきたわたしにいまさら田舎暮らしができるとでも?」
母の目を見て、なにかを言いかけるが口をつぐみ、下を向くジョン。
「どうした? なにが言いたい?」
「陛下とヨナ姉上の婚姻が決まりました」
「なに?」
「後ろ盾のない陛下にファンボ一族が加担するとのことです。
他の豪族たちも従っています。
ヨナ姉上は皇后ばかりか皇太后の座を狙うことになるでしょう。
これからはファンボ一族の天下です。
母上がいくら皇太后といえども、ここでは暮らしにくくなります」
「そう、か…」
ギュッと手を握りしめる皇太后。
なにかを思いつた表情で
「ところで、あの娘は? スは納得しているのか?」
「はい、皇帝と皇宮を守るためには致し方なしと」
「そうか。スは身を引くのか」
苦しそうな顔のジョン。
「ジョンよ、おまえはスのことが好きなのだろう? 母がどうにかしてやろうか?」
「母上、わたしはもう子どもではありません。
スのことは姉上としてお慕い申しあげているだけです。冗談はおやめください」
「わかった」
「故郷に帰る件、考えておいてください」
ジョンが去った後、なにかをじっと考える皇太后。
しばらくして…内官に「早急にわが一族を呼べ。それから手紙を書く。漢山に届けろ」
(続きます)
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2日ほど、本編のビデオを観ることができなかったので、激しいワンソさまロスに陥っています。
そのぶん、隙あらば妄想の羽根を広げておりました。その甲斐あって、この物語はほぼラストまで完成しております。ただ、いくつか地名や諸々の関係性を振り返って確認したいところがあり、アップするのには少し時間がかかるかもしれません。
アナザワールドの妄想ストーリー故、本編や史実との誤り、繋がりのおかしさなどはご容赦くださいませ。誰かに読んでいただくよりも、自分への癒しを目的にした、完全に自己満足の世界です…。